日本とアメリカどう違う?子どもの教育やしつけ、生活スタイルを解説

教育

アメリカと日本では、幼児の教育やしつけに違いがあります。幼稚園年長にあたるキンダーガーテンは、プレ小学校といった位置づけ。入学前に読み書きを覚えます。発達障がいや、特殊な能力などをもつ子どもも多く、ホームスクールや飛び級なども一般的です。ひとりひとりの個性を活かす教育が行われています。

この記事では、アメリカと日本での育児にまつわる違いなどを紹介します。違いを知ることの目的は、どちらが正解と受け止めることではありません。いいとこどりをして、今ある生活に活かして欲しいと思います。

アメリカの育児、日本の育児って違いがあるの?

アメリカの育児と日本の育児には、具体的な方法の違いや発想の違いなど、さまざまな違いがあります。どちらが正解というものではなく、その土地に芽生えた文化や社会の背景も関係しています。

アメリカと日本の育児事情

3食の食事の用意、お風呂の掃除、洗面台の消毒……など、きっちりした生活は当たり前、そこに育児がのっかってきて、ますます大変。でも、さらに頑張ってしまうのが日本の母親。

対してアメリカでは、もともと、靴で室内に入るため生活空間の清潔意識は、日本人ほど高くありません。赤ちゃんが産まれたら、なおさら、家事が疎かになっていても問題にしません。日本人は世界一、清潔といわれているのは周知の事実です。

食事面では、日本のように、毎日何品も手作りする習慣はなく、加工食品が日常で、イベント時にはチキンを焼いてクッキーを焼くなどホームメイドをします。アメリカでは、子どもの肥満や食事を原因とするADHDが多くみられ、改善策がとられるようになっています。

生活面では、広大な敷地、自宅の庭で十分遊ぶことができる環境があります。買い物なども、お店の中が桁違いに広く、子連れでも移動に困らない売り場スペースが設けられています。

子どもの行動への反応

まず、泣いたら気が済むまで泣かせようとするのがアメリカ、泣いたら泣き止ませるのが日本です。これは代表的な育児にみられる違いといわれています。日本では、周囲への配慮を、我が子の気持ちよりも優先する場面が多くあるのが現実。

本心では、我が子の気持ちは大切だと思っているのは共通。児童館や公園では、泣いていても、喧嘩していても、黙って見守る場面が多くみられます。人口密度の高い日本では、児童のための施設は大変ありがたいスポット。子どもと出かける場所を探すためのアプリも存在するほどです。

アメリカでは、親に合わせて子どもが外出することが一般的です。これは、他者への迷惑という考え方にあまり敏感ではない気質からきていると思われます。もちろん、車の中や人のいない場所に移動してから泣かせる親もいます。

寝かしつけの違い、環境や遺伝子が関係している?

寝かしつけの方法には、環境や遺伝子が関係しています最近では、欧米型育児ということで、赤ちゃんを別室で寝かせたり、ネントレ(寝んねトレーニング)をしたりする親が増えてるようです。しかし、環境や遺伝子が異なるため、結局失敗におわることがほとんです。寝るようになったとしても一時的なものとなるようです。

環境の違い

アメリカでは、退院してすぐの新生児期から、子供部屋に赤ちゃんを寝かせる習慣があります。もちろん、赤ちゃんは泣きますが”泣かせっぱなしでOK”というのがアメリカの親や小児科医のスタンスだそうです。これは、住宅環境も関係しているでしょう。

アメリカは、敷地が広いので、近所迷惑となる基準の泣き声の音量や頻度に余裕があります。対して日本は、土地が狭く、隣の家の話し声が聞こえるほど、家同士がくっついています。泣き声が周囲へもたらす影響に神経質にならなければならないことは否定できません。

さらに、残念ながら、日本人は他人に迷惑をかけてはいけないという考え方を持っています。子供の夜泣き=近所迷惑、なので夜泣きだけは絶対させてはいけないと考えた結果、夜通し母子が密着して寝ることになってしまいます。

寝具については、アメリカでは子供部屋に設置したベビーベッドを使います。日本では、ベッドまたは布団を使いますが、いずれにしても川の字で寝る親が多いです。ベビーベッドを利用する場合も、親の寝る場所に横付けしています。

ただし、日本では親子が同じ布団で寝ることが改めて、推奨されてきているのも事実です。発達障害やうつ病の増加傾向を受け、子どもが離れていくその時まで、精いっぱい甘えさせることの重要性がわかってきたからです。

海外で当たり前になっているからといって、日本でも採り入れることが必ずしも良いとは限りません。

遺伝子の違い

セロトニントランスポーター遺伝子と呼ばれる、不安や敏感さに関わるセロトニンシステムの型の違いも、育児の違いに関係していると思われます。セロトニントランスポーター遺伝子には、SS型(不安が強い)ll型(不安が弱い)SL型(SSとllの混合)があります。

アメリカでは、Sl型とll型を持つ人が多数を占めています。対して日本では、SS型を持つ人が大多数いるといわれています。つまり、不安感に対する脳の反応も、遺伝子レベルで違うのです。文化や環境の違いは寝かしつけに対する意識の違いを生む要因ですが、遺伝子の関係は無視できるものではありません。

このため、不安や敏感さを遺伝子レベルでもっている日本人の赤ちゃんは、物音に気づいて起きてしまうなどということが起こります。逆にいえば、日本人の親も小さな変化に敏感に気づくので赤ちゃんの安全を守るという意味では、メリットとなるでしょう。

こうした理由からも、日本人の赤ちゃんは親と密着して眠ることに、遺伝子レベルで安心感を得るといわれています。そのため、欧米型育児、赤ちゃんと別室で眠るというメソッドを試したとしても、結局失敗に終わることが多いのです。

食文化の違い、母親にかかる負担は?

「食事づくり」に関連するものでは、日本の母親にかかる負担は大きく、アメリカの母親にかかる負担は小さいです。日本では「離乳食はつくるもの」アメリカでは「離乳食はスーパーで買うもの」というのが常識の違い。

食への意識やこだわり

幼児期から加工食品と冷凍食品を日々、消費することが一般的なアメリカ。ですが、わたしたちがイメージするように、毎食ファストフードばかりではありません。さまざまな文化の人が集まっているので、食事内容もバラエティに富んでいます。ここでは、アメリカの一般的なスーパーで購入しやすいものを前提に解説します。

  • 朝食……シリアル、マッシュポテト、オレンジジュース
  • 昼食……フルーツ、サンドウィッチ、甘味系なら、ピーナツバター、ジャム。食事系なら、サラダ、チーズ、薄切りのお肉など
  • 夕食……パン、チキン、スープ、お米など
  • 間食……アップルパイ、クッキー、チョコレートなど

上記だけをみれば、そこまで肥満になるわけではないように思います。では、何が一番の問題なのでしょうか。

  • ジュース
  • 炭酸飲料
  • 砂糖や甘味料入りのお茶、コーヒー

大きな違いはこれらの飲料習慣です。ジュースといっても果汁ではなく、炭酸飲料を常に飲む習慣があるとのこと。さらに、砂糖を抑えるがために甘味料を大量にとっていることも大問題だといえます。量のイメージですが、日本でのLサイズはアメリカのSサイズだといわれています。

夕食事情は、人それぞれといったところでしょう。上の世代では、ポテトとチキンが慣例、毎日、宅配ミールや外食の家庭もあれば、バランスを意識した食事を手づくりしている家庭も増えているそうです。調味料は、日本のように数種類も使うことはなく、アバウトな味付けとされています。

日本人のように、肥満リスクに敏感でない理由のひとつは、代謝系遺伝子の違いがあることです。遺伝子の働きの違いにより”肥満が病気にすぐには結びつかないこと”が食生活への意識を低くしているのかもしれません。日本人がアメリカ人と同じ食事をすれば、アメリカ人よりも短期間で肥満になるといわれています。

アメリカでは幼児の肥満が多く、改善策が広まりつつあります。しかし、食事の文化を短い期間で変えるのは難しいようです。逆に、ヴィーガンをはじめとした、ヘルシーな最新食事法を意識している人も多くいます。

離乳食とお弁当

アメリカでは、購入が基本です。素材別にペーストになっているものが販売されています。自宅でミキサーにかけるなど手間をかけることはしないのがアメリカ流。食べるかわからないものに、時間と手間をかけないという考え方のようです。母親の苦労=愛情という視点は皆無。この点は、日本でも納得する人が増えていくかもしれません。

日本では、手作りが一般的です。外出時用にレトルトを持ち歩く人も増えてきましたが、乳児用のお弁当箱に、すり潰した食事を入れている人が多くみられます。レトルト食品を身体に入れることへの不安感が高い日本人。赤ちゃんの身体に加工品を食べさせる罪悪感があるのが現実です。

アメリカでは、幼児のお弁当は紙バッグに入れます。フルーツとサンドウィッチが主流だそうです。挟む具材は、家庭により甘味系、食事系とわかれるようですが、それでも日本人ほどバランスや糖分を重視している家庭は珍しいようです。

食文化の違いは、このように離乳食や幼児食の違いをもたらしています。

幼児期の学び、具体的な違いは?

アメリカでは個人のペースで、日本では集団のペースで、幼児期の学びを習得します年長児クラスに相当するキンダーガーテンは、プレ小学校という位置づけです。幼稚園までの仕上げ期間ではなく、小学校の準備期間という意味合いが強いです。これらが幼児教育の具体的な違いです。

個人重視、集団重視

幼児教育の違いとして最も大きなことは、アメリカは個人重視であること日本では集団重視であることです。一方、幼児教育に共通していることは「自分も大事にできる、他者も大事にできる」という大人になっていく土台を作ることでしょう。

アメリカの幼稚園は、民族の違いや土地の環境が大きく異なるため、場所に合った設置がなされています。州により、制度は異なりますが、多くの州では”6歳”から義務教育の範囲に含まれます。日本では”満6歳”から義務教育の範囲となります。

ホームスクーリングや個性を伸ばす教育も、広く認められています。宗教の違い、人種の違い、食べるものの違い、さまざまな違いを幼少期から自然と受け入れます。ひとりひとりが違う人間であることを、大人も子どもも認め合う社会がアメリカにはあります。

一方で、日本の幼稚園では、いまだに軍隊のような並び方をしたり、全く同じことをできないと降り落とされてしまったりということが、少なからず起きています。少しでも集団になじめない場合、すぐに発達障がいを疑ったり、育て方を注意されたりしてしまいます。

キンダーガーテンの位置づけ

アメリカでは、小学校1年生になるまでに、アルファベットの読み書きができるようになります。読み書きの基礎をキンダーガーテンで身に付けた上で、小学校へ進学することが一般的です。キンダーガーテンは州によりますが、日本でいう年長児のクラスを意味します

日本でも、読み書き計算をカリキュラムとする幼稚園や保育園が多く存在します。しかし、考え方のレベルでアメリカと日本で違うことは、キンダーガーテンはプレ小学校という意味合いが強いことです。実際、付属小学校として学校内に設置されている園もみられます。

入園時期は、基本的には9月です。始業ガイダンスは行われますが、式典形式の大掛かりな入学式は、ほとんど存在しないようです。卒業式も小中高一貫校が一般的なので行われません。高校の卒業式のみ、盛大に行われる慣習となっています。

文化や社会からみた、教育の違いとは?

指導する教育」か「支援する教育」かが根本的な育児観の違いです。アメリカでは、支援型教育で生活至上主義のしつけです。日本では、指導型教育で学習至上主義のしつけです。あくまでも傾向であり、近年は家庭により考え方も豊かになっています。ここでは、代表的な意見を紹介します。

教育やしつけの在り方

教育の立ち位置の違いを考察してみましょう。どちらにも良い面と悪い面があり、アメリカでも日本でも両面を持ち合わせています。

アメリカでは、子どもを大人と区別なく認めています。赤ちゃん言葉などを多用する親はあまりいません。また、教育は生きていく力を身につけることを重要視していて「自立した人」に育てることが目的です。

親は、子どもも家庭生活の一員であり、家事にも参加してもらうことを当然のことと考えています。塾などに通うことは一般的ではなく、高校までの義務教育期間は、勉強は学校でのみ取り組むことと捉えています。家では、勉強よりも家事や趣味などをすることが中心と考えます。

進学や趣味に口出しない親がほとんどです。しつけは、善良な市民となるために周囲の大人も行います。まとめると以下のような捉え方となります。あくまでも傾向です。

  • 強みを伸ばす
  • 勉強 < 家事
  • しつけ≠親の願い

日本では、子どもを”子ども”としてみる傾向があります。子どもに接する態度と、大人に接する態度は変わることが多いです。また、教育は常識的な考え方を身に着けることを重要視していてルールを守ることのできる「社会人」に育てることが目的です。

親が子どもの就職までを案じて、良い大学に入学するまで導こうとします。良い大学に入れば全て安泰だと、まだまだ多くの親は学歴を重んじる傾向があります。また、親自身が「〇〇が苦手だったから子どもには早期から習わせておきたい、○〇が得意だったから子どもにも身につけさせたい」などといった、親の願望がそのまま教育やしつけにあらわれる場合があります。

しつけは、周囲へ迷惑をかけない為に行う場面が多くみられます。周囲の大人が関与することは少なく、親のみがしつけをする傾向があります。まとめると以下のような捉え方となります。

  • 弱みを、克服する
  • 家事 < 勉強
  • しつけ=親の願い

親と子どもの境界

親と子どもの心理的な境界は、生まれ育った背景や社会構造などにより異なるものです。国によっても違いがあることを知っておくと良いでしょう。

アメリカでは、子どもが生まれても、他者に保育を依頼し、夫婦で映画を楽しんだり、食事をしたりといった時間を大切にしています。母親となっても、ひとりの人間としての生き方を大切にしています。それぞれが、主体性を持ち生活を営んでいるのです。

そういった、主体性のある生き方をしていることも、親と子の境界をひける要素だといえます。自分が自立していることで、他者との境界をひけるようになるからです。

日本では、子どもが生まれると、子どもの独立まで、家族単位での時間を大切にしています。子どもを他者に預けて出かける先は、病院や他兄弟の学校行事くらいでしょう。他者に保育を依頼し、余暇を楽しむといった発想には罪悪感を覚える人がほとんどなのです。

子どもと親は、一体化していることが多く、ステージを経て、親離れ子離れしそれぞれが自立していきます。この過程でうまくいかないことも多く、依存関係や極端な劣悪関係になってしまう場合があります。母親が1人で育児をしていることも、その原因のひとつとされています。

そもそも日本では、他者との境界をあえて作らない文化が強いともいえるのです。家族になったら、配偶者の人生も自分の人生の一部であるという適応の仕方をします。例えば、余命宣告を家族に先に伝え、家族が本人に告知するかを決めるなども、日本特有の考え方です。「本人の残り時間=自分がこの人と過ごす残り時間」と考えるからです。

アメリカはもちろん、主体性の強い国では、人生の残り時間を本人以外に伝えるといった発想がありません。本人の生き方は、本人から家族に相談することはあっても「本人の人生=本人の人生でしかない」のです。

このように、日本人は、もともと他者のために思考、行動する気質を持っているので、自然と親子の境界線をひく必要に迫られていないともいえます。アメリカのように主体性を持つ人が多い国、日本のように従属性を持つ人が多い国とでは、家族関係の在り方も異なるのは自然なことです。

ただ、現在は、主体性の重要性が多くの場面でみられるようになりました。今後、日本人の家族、育児へのスタンスも変わっていくと思われます。

まとめ

さまざまな文化を持つ人が集まるアメリカでは、ひとりひとりの違いを乳幼児期から受け入れることが自然なこと。生活スタイルに寛容、主体的で高い能力を伸ばすアメリカと、生活スタイルに几帳面、従属的で低い能力を平均値に近づける日本。これらが大きな違いだということをお伝えしました。

子どもの頃から、主体性も大事にはするけれど、まわりへの配慮、気配りを含めた従属性に優れているのが日本人です。集団や組織のなかで、個人が責任感をもつことが自然にできるのも日本ならではでしょう。

どちらが良いということではありません。多種多様な背景により、国によって違いがあるということを知ることは人生を豊かにします。それぞれの良い部分を教育や生活に採り入れていけたら良いですね。

 

マムパピのインスタグラムについて

mampapi-マムパピでは、2児の娘を持つママさんがインスタグラムにて、子育てママのお話を受け付けております。

妊娠・子育て中のお悩みや、育児のアドバイスなどDMやコメントで気軽にお話ししましょう♩

教育
ABOUT THE AUTHOR
この記事を書いた人
RK

静電気におびえて暮らしています。冷え性を改善しようと模索中。好きな食べ物はうどんで丸亀製麺大好きです。キャラクターはぐでたまとカービィが大好きです。よろしくお願いします。

mampapi(マムパピ)
トップへ戻る
タイトルとURLをコピーしました