幼児とは、一般的には1歳から小学校入学前の6歳までの期間を指します。
子育てにおいて幼児期は、体の成長だけでなく、基本的な生活習慣や人格形成の基盤をつくる大切な時期です。
この時期の子供がいる場所で行う教育を総称して「幼児教育」といいますが、具体的にはどれくらい大切なものかご存じでしょうか。
「保育園や幼稚園に通っているから大丈夫」と考えている子育てママも少なくないかと思いますが、日常生活の中でも学ぶことはたくさんあるのです。
この記事では幼児教育とは何か、またママが行うときに何を意識すればいいかを解説します。
幼児教育ってどんなもの?
子育てにおいて、幼児期というのは一生に一度のとても貴重なものです。
そんな大切な期間の中で、教育はどのような役割を担っているのでしょうか。
人間力を育てる
人生を豊かにするためには、幼児期の子育てがとても重要だと言われています。
子供は日常生活の中で、さまざまな体験を通して成長発達していきます。
そんな日々の体験によって、人間としての生きる力を身につけ、将来的によりよい人生を送れるようになります。
日常生活の中で学ぶ
子供が学ぶ場所は、保育園や幼稚園だけではありません。
家庭内で両親から愛情を受け、時には怒られて育つことによって、心身の基礎を築いていきます。
子供と生活する日常の中で、ママが教えられることはたくさんあります。
そして保育園や幼稚園では、友達や先生とともに生活することで、集団行動を覚え社会性を身につけていくのです。
早期教育との違い
幼児教育が人間の基盤となる人格形成や社会性の獲得を目的としているのに対し、早期教育は専門的な学習が主となってきます。
他の児童が成長してから受ける算数、英語、運動、音楽などを早い段階から受けさせることで、脳の発達や体が持つポテンシャルを引き出すと言われています。
また、早期教育は子供の意思でなく、親の意思で乳児期や胎児期から行われることも多いようです。
幼児教育は日本と海外でどう違う?
近年は日本でも、海外の幼児教育スタイルに注目し、良い部分をどんどん取り入れています。
どのような部分が違うのか、比較してみましょう。
個性と協調性
日本の教育スタイルの一番の特徴は、協調性を大切にするということです。
幼い頃から集団行動を大切にしているので、成長して大人になっても、周りと同じであることに安心感を覚える人が多いでしょう。
一方欧米は個性を尊重するだけでなく、どんどん伸ばす教育を行なっています。
芸術面や知能で優れた才能を持つ生徒が、その力を伸ばすため特別支援学級に入ることも珍しくありません。
「教える」ではなく「導く」
日本では「教育」という字のごとく、教えて育てるという考え方ですが、英語の「education」は、外に導くという意味があります。
一方的に知識を伝えるのではなく、子供に考えさせることで、自ら深く学ぶようになります。
日本の算数の問題が「3+4=?」なのに対して、イギリスでは「?+?=7」という、答えがいくつもある問題が出されます。
褒めるしつけ
日本では、失敗をしたときに叱ることをしつけといいます。
そもそも叱って育てる文化が定着しているのは、周囲に迷惑をかけられない、日本の協調性を大切にする国民性のためです。
しかし欧米では、前述したように個性を尊重する文化ですので、多少の失敗には寛大です。
その分成功したときに大きく褒めることで、子供に自信や意欲を与えるしつけを行っているのです。
幼児教育で大切なこと
子供は保育園や幼稚園以外でも、さまざまなことを学び、吸収していきます。
では、幼児教育を行う上で、子育てママが大切にすべきこととは何でしょうか。
子供の自主性を尊重する
「こんな子育てがしたい」と高い理想を持つママは、自分の意思を我が子に押し付けてしまうことがあります。
しかし、親に無理やりやらされていることは、なかなか身に付かないことが多いのです。
反対に子供は自分が興味関心を持ったことならば、進んで学ぼうとします。
「やってみたい」「もっと知りたい」という意欲を読み取って、どうしたいかうまく引き出してあげるようにしましょう。
達成感を覚えさせる
子供が何かをやり遂げたときには、「よくできたね」「頑張ったね」と一緒に喜び、しっかり褒めてあげるようにしてください。
ママに認められると達成感を覚え、また次の目標にチャレンジする意欲が生まれます。
失敗したときは「また頑張ろう」「次は大丈夫だよ」と、我が子の気持ちに寄り添って励ましてあげましょう。
子供に考えさせる
ものごとの共通点や違いを見つけたり、自分で予想したりと、子供に考えさせることも大切な教育です。
「〇〇と××はどこが違う?」「〇〇なのはなぜだと思う?」と質問を投げかけることで、ものごとを整理する力や、問題を解決する力を養うことができます。
ママを叩いたり、友達のおもちゃを奪ってしまったりと悪いことをしたときには、「〇〇ちゃんは同じことをされたらどう思う?」と、相手の気持ちになって考えることを教えるといいでしょう。
ママも一緒に取り組む
子供は1人で勝手に成長するわけではありません。
幼稚園の先生や保育士からの指導、友達との交流、そして両親との生活の中で、たくさんの体験をして大きくなっていきます。
教育というと子供に焦点が当たるように感じますが、ママも一緒になって学んだり、成長したりする姿勢が大事です。
幼児教育のやり方は年齢によって違う?
1歳から6歳までの間に、子供は心身ともに大きく変化していきます。
年齢に合った教育を心がけて、成長をサポートする子育てをしましょう。
1歳は体験させる時期
1歳児は、脳に刺激を与える体験をさせるのがいいでしょう。
色々なものを「見る」「触る」体験や、自然の音を「聞く」など、子供本人にいろいろな感覚を与えてあげてください。
その中でも聴覚が発達してくる時期なので、読み聞かせも効果があります。
耳から入ってくるお母さんの優しい声だけでなく、目から飛び込んでくるカラフルなイラストにも、いい反応が見られるでしょう。
この時期にたくさん言葉をかけてあげると、コミュニケーション力を高めたり、言葉を早く覚えたりという効果が期待できます。
2歳〜3歳は自我が芽生える時期
2歳になるとほとんどの子供が「イヤイヤ期」に突入します。
親としてはとても大変な時期ですが、子供の自我が芽生えてきたという成長の証ですので、温かい気持ちで見守りましょうね。
この頃になると手先が器用になってくるので、ブロック遊びやシール貼りなどの手を使う遊びを積極的に取り入れます。
色や数字の概念もついてくるので、折り紙を使って色を覚えさせたり、1から10までお風呂で一緒に数えたりと、楽しく教えてみましょう。
勉強する練習として、椅子に座ってパズルやお絵描きをさせるのもおすすめです。
無理やり押し付けるのではなく、明るい雰囲気を作ってあげてくださいね。
4歳〜6歳は小学校への準備段階
4歳を超えると、精神的にも身体的にも子供は大きく成長します。
手先はさらに器用になり、考えて表現することができるようになるので、興味を持ったことは思う存分やらせてあげましょう。
日常生活の中でも、自分のことは自分でできるようになるので、ママも少し楽になるかもしれません。
時計を読めるようになったり、名前を平仮名で書けるようになったり、簡単な足し算をしてみたり・・・小学校に上がる準備をしておくのも有効です。
まとめ
子供に幼児教育を行うことで、これから社会で生きていくための人間力を形成し、充実した人生を送るきっかけになります。
幼稚園や保育園はもちろん、ママやパパと過ごす日常生活の中で学べることはたくさんあります。
しかし、ママが熱心になりすぎて子供に負担をかけてはいけません。
同じ目線に立って、一緒に楽しく成長するという気持ちを忘れないでくださいね。