近年よく聞くようになった「産後うつ」は社会問題にも発展しています。
出産後のママの誰もが経験する可能性があり、決して軽視できないと注目を集めています。
特に本人の自覚がなくても、状況が悪化していたり症状が出ていたりすると気づくのが遅くなってしまいがちです。
そこで今回はそんな産後うつが起きてしまう原因、その症状、起きてしまった時の対処方法について詳しく紹介しています。
社会問題としても注目!産後うつとは
産後うつとは出産後6週間以降に発症するうつ病一種で、特に産後3ヵ月までに発症する可能性が高いです。
出産した女性全体の10~15%の女性に発症する可能性があり、重症化すると精神疾患病へと進行してしまう恐れもあります。
出産後、女性の体はモルモンが急激に変化します。
このホルモン変化がある中で、慣れない育児によるストレスから発症する場合が多いです。
似たものに「マタニティブルー」というものがあります。
マタニティブルーは急激なホルモン変化や出産後の環境の変化による一過性うつと言われています。
これは出産した女性の半分以上が経験しますが、産後2週間以内に発生し自然と落ち着くことが多いです。
このマタニティブルーよりも発症期間が遅く、症状も重たいことが産後うつの特徴とされています。
産後うつの症状
産後うつの症状は精神的症状と身体的症状の2つから発生します。
それぞれの症状には以下のようなものがあります。
精神的症状
不安になる、緊張する、イライラする、パニックになる、気分が落ち込む、気分の浮き沈みが激しい、希望を持てない、せかせかする、自分を責めてしまう、情けなく感じる、何でもないのに涙が出てくる、などがあります。
悪化すると無力感、絶望感、夫や子供を愛おしいと思えない、自殺願望を感じてしまう人もいます。
身体的症状
睡眠障害、極度の疲労感、いつもできていた事ができなくなる、集中力・記憶力が低下する、頭痛、摂食障害、怠い、思うように体が動かない、などがあります。
悪化すると不安発作やパニック発作を起こす人もいて、日常生活自体が困難になる事もあります。
数週間から数ヵ月以上症状があり、精神的・身体的症状が悪化している場合には専門家への受診が必要になります。
産後うつが起こる原因
ではなぜ産後うつが起こってしまうのでしょうか。
その原因は以下の通りです。
ホルモンの変化
出産時に「エストロゲン」と「プロゲステロン」というホルモン分泌量が変化します。
授乳などの身体のホルモン変動があり、脳の神経伝達に影響を与えてしまいます。
まるでジェットコースターのように変動するので体と心がついていけない状態になりバランスが乱れてしまうのです。
睡眠不足と疲労
妊娠中もママの体は疲労が蓄積されている中で出産で完全に疲れ切っているにも関わらず、育児は待ったなしでやってきます。
生まれてから休みなく赤ちゃんに授乳しお世話する事でママは十分な休息をとることができません。
細切れ睡眠は睡眠の質を低下させてしまい疲労も十分回復することができません。
蓄積されていく疲労が一向に減らない為、肉体的疲労が精神面にも影響を与えてしまいます。
ママとしてのストレス
目の前に小さな可愛い新生児がいると誰もがその小さな命を守ろうと思います。
特に命懸けで子供を産んだことで「ママ」にとっては愛おしい半面、子供を守らなければという責任感が生まれます。
頑張らなくてはと強く思ってしまい、無意識で緊張状態を保ってしまう人も多くいます。
「ママだからちゃんとやらなくちゃ」「ママだから頑張らなきゃ」といった「ママ」としてのストレスを強く感じてしまう人もいます。
周囲に頼れない
両親も高齢なので頼れない、近所に親戚がいない、旦那さんは残業が多く休みも少ないなどの理由で周囲に頼れる人がいない場合、赤ちゃんのお世話は全部ママがやることになります。
誰かいてくれればごはん中に少し抱っこしてもらえたり、仮眠をとって休憩できたりする事ができます。
しかし頼れる人がいないとそうはいきません。
特に旦那さんが多忙の場合は身近な人に手伝ってもらえない事からストレスを感じてしまったり、苦しく感じてしまう事もあります。
産後うつの対処方法
実際産後うつの症状がでたら取るべき対処方法を紹介します。
周りに頼る
夫婦どちらかの両親にサポートをお願いできる場合は家にきてもらったり、ママ自身が実家に帰るなど対策をとりましょう。
旦那さんが仕事を休める場合は有休を使って休みを増やしたり、できるだけ早めに帰宅し家事や育児を手伝いましょう。
家族内でのサポートが難しい場合、市町村の産後サービス、産後ママのヘルパーサービスなどを利用してみましょう。
赤ちゃんのお世話を始め、家の掃除や料理の手伝いなどサービス内容も豊富にそろえていることが多いです。
病院を受診する
今の状況を専門家に話し本人の症状に合わせた治療方法を提供してもらいましょう。
薬療法だけではなく、話をしながら考え方を変えたりストレス緩和に向けたアドバイスをもらうことができます。
体調がよくない場合には薬を処方してもらえます。
授乳中で薬を飲むことに抵抗がある場合には漢方薬を処方してもらう事も可能です。
旦那さん・家族・気の許せる友人に話す
赤ちゃんと2人きりの生活をしていると1日中誰とも話さなかったという日が出てきます。
出産前は当たり前にできていたこともスムーズにできなくなり苦痛に感じてしまう事があります。
そんな時は旦那さん・家族と話してみましょう。
自分の心の内を話す事で気持ちを整理する事ができます。
特に旦那さんには具体的に何で困っているのか、何をしてほしいのかを明確に伝える事が大切です。
また気の許せる友人と話してみるのも良いリフレッシュになります。
自分の気持ちを声に出して話してみましょう。
1人の時間を作る
誰かに赤ちゃんを預かってもらい1人の時間を作りましょう。
ママも人間なので赤ちゃんとずっと一緒にいると疲れてしまいます。
1人の時間を作りリフレッシュする事でまた改めて育児を頑張ることができます。
赤ちゃんを預けるのに最初は戸惑ってしまったり、罪悪感を感じてしまう事もありますが、ママが笑顔でいられることはみんなにとって大切です。
自分だけの為に使える時間を確保しましょう。
子育て仲間を見つける
子育て中は社会から切り離されたような感覚に陥り孤独になりがちです。
この孤独感が産後うつを招いているともいわれているくらいです。
孤独感の対策として同じように子育てしている仲間を見つけるのがオススメです。
地域の子育てセンターや0歳児向けのイベントなどに出かけてみると同じように子育てしているママと知り合えることができます。
いきなり対面だと緊張してしまうというママはSNSのグループやオンラインで子育て中のママとつながるのがオススメです。
同じ子育て中だからこそ分かりあえる事があり、育児に関する悩みなども話しやすいです。
まとめ
産後うつはママになった人誰もがなる可能性があります。
特になかなか周囲を頼れなかったり、ママが1人で頑張っていると気づかぬ間に状況が悪化している事もあります。
この記事で紹介した症状が1つでも出たら、ママは産後うつになりかけている状態です。
症状が悪化する前にこの記事で紹介した対処方法を家族で実践してみてください。
産後うつは対策をすれば状況や症状を改善することができます。
ぜひこの記事を参考に産後うつの改善や予防に役立たせてください。