赤ちゃんのお誕生、おめでとうございます!
嬉しさで胸がいっぱいな反面、目の前にいる生まれたての小さな命に、どう接して良いのか戸惑っている方も多いと思います。
特に今まで見たことがなく、初体験となる赤ちゃんのへその緒の消毒方法については、どうして良いのか困ってしまっているお母さんもいるでしょう。
赤ちゃんのへその緒はきれいに取れて、取れた部分が乾燥するまでは注意深い観察と消毒、ケアが必要です。
ここではその具体的な方法と注意点、観察点、そしてトラブルが起きた時の対処方法について説明していきたいと思います。
へその緒の役割とは?切った後はどうなる?
赤ちゃんがお母さんのおなかの中にいる時、へその緒はお母さんの胎盤と赤ちゃんのおへそをつないでいます。
個人差がありますが、出産時には大体50cm前後の長いホースのような管になっています。
お母さんのおなかの中で赤ちゃんはその管を通して、お母さんから栄養分や酸素をもらい、逆に二酸化炭素や老廃物などのいらないものを排出しながら生きています。
そんな赤ちゃんの命の綱であったへその緒も、生まれてしまえば不要となります。そのため、誕生後はすぐにハサミでカットされます。カットされた後、赤ちゃんのお腹にある太い血管につながっていたへその緒は、出血しないようにクリップで止められます。
クリップは切断部が乾燥し、出血がないことを確認した後、大体24〜48時間経過した後に外してもらえます。
そして次第に赤ちゃんに残された部分は乾燥し、自然におなかから取れます。
消毒方法・タイミング・回数は?
赤ちゃんに残されたへその緒とその周囲は、乾燥するまで雑菌が繁殖する恐れがあるため、適切な方法での消毒が必要になります。
消毒のタイミングは一日一回、沐浴後が良いでしょう。頻回にやり過ぎると皮膚トラブルの原因になります。ただし、赤ちゃんのおしっこやうんちで汚れてしまった場合はその都度消毒をしましょう。
消毒方法は、赤ちゃんのおなかに残されたへその緒を指でつまんで軽く持ち上げ、おなかとの接続部を指でよく広げてから根本の部分を消毒液をつけた綿棒でぐるりと一周します。
産院によっては、消毒後に亜鉛化デンプンという粉の乾燥剤を用いるところもあります。
その後乾燥したことを確認し、ガーゼで覆いましょう。ガーゼを止めるテープは、必要最低限の長さとし、テープによるトラブルを防ぐために貼る位置をずらして貼りましょう。テープは斜めに貼っても問題ありません。
そして、ガーゼ部分にオムツが当たる場合は、当たらないようにオムツの上部を折り返します。
オムツを上に被せてしまうと乾燥の妨げになります。
消毒はいつまで続ける?
消毒は、へその緒がついている間、そして取れてからもおへそが乾燥するまでは続けます。
なかなか乾燥しなかったり、少量の出血が続いたり、黄色っぽい滲出液等の汚れが気になったりと、やめるタイミングが分からない場合もあります。そんな時は、一ヶ月検診の際に先生に確認しましょう。
消毒時の注意点
消毒は、一日一回、沐浴後に行います。
その際は、おへそ周囲の水分をしっかりとタオルやガーゼで拭き取ってから行いましょう。
そして、初めての方は特に抵抗があるかもしれませんが、赤ちゃんは無理やり引っ張ったりしなければ痛みは感じません。恐がらずにしっかりと行いましょう。
恐る恐る手短に行い、汚れや雑菌が残ってしまう方が心配です。
ただ、力を入れすぎたり、無理やり引っ張ることは赤ちゃんのおへその部分を痛めたり、出血や裂傷等のトラブルを起こす場合もありますので避けてください。
産院によっては、消毒液を用いなかったり、粉の乾燥剤を使用するところもあります。
消毒方法は入院中の沐浴指導時等に教えてもらえますので、産院で教えてもらったやり方で行いましょう。
消毒時は、トラブルが起きていないかを確認する機会にもなります。消毒と同時に、赤ちゃんのおへそやその周囲にトラブルが起きていないかどうかしっかり観察しましょう。
へその緒の観察点とトラブル時の対策
おへそのトラブルで一番多いのが雑菌の感染です。
雑菌が増殖してしまった場合、赤ちゃんのおへそとへその緒の繋がっている部分がジクジクと滲出液で常に汚れていたり、出血や膿が出てきたりします。また、おへその周囲が赤くなり腫れたり、臭いがきつくなってくることもあります。雑菌感染以外にも、臍炎や、臍肉芽腫という病気の場合もありますので下記の観察点をチェックし、異常がある場合は早めに産院や小児科の受診をしてください。
観察点:滲出液の量、出血量、おへその周囲の赤み、腫れ、臭い
※へその緒が取れかかっている場合や取れた後に少量の滲出液や出血がある場合がありますが、ごく少量の滲出液や出血が数日でおさまり、発赤、腫脹、臭いが伴わないような場合は問題ありません。
へその緒がとれない場合
へその緒が取れるまでの期間には個人差があります。
入院中にとれてしまう赤ちゃんもいれば、取れるまでに生後二週間以上かかる赤ちゃんもいます。
もしなかなかとれなくても、いつか必ずとれるので心配はいりません。無理にとろうとせず、自然にとれるのを気長に待ちましょう。
1ヶ月検診では必ず医師がおへその状態を確認します。心配な場合はその時に医師に相談してみましょう。
へその緒の保管方法
お母さんと赤ちゃんを繋いでいた絆、へその緒。
物理的な絆の証でもある臍帯は、どうやって保管しておいたら良いのでしょうか。
まず、保存する場合に大事なことは、湿度の少なく、通気性の良いところで数日間かけてしっかり乾燥させてからしまうことです。この乾燥がしっかりできていないと、保存中にカビが生えることがあります。
乾燥させた後は、産院が用意してくれた、もしくは市販の桐の箱に入れて保存するのが良いでしょう。桐の箱は防虫効果があり、また通気性も良いことからへその緒の保存に適切とされています。
後々箱を見た時にカビていては、母も子もかなりのショックを受けてしまいます。
心配な場合は、箱の中に乾燥剤を入れておくとより安心でしょう。
うちの子でべそかも!?どうしたら良い?
へその緒がとれた後我が子のおへそを見て、もしかしたらでべそ?と心配になってしまうことがあるかもしれません。生まれたばかりの赤ちゃんのでべそは意外と多く、ほとんどが成長の過程で自然に治っていくので、心配はいりません。2〜3歳になっても全く改善がなく、気になる場合は小児科で相談しましょう。
へその緒を保存するのはなぜ?必ず保管しておくべき?
では、へその緒はなぜ保存しておくのでしょうか?
また、必ず保管しておかなければならないものなのでしょうか?
実は、臍帯の保管をしておくのは日本の古くからの風習で、他の国の人は知らないことが多いです。
日本では、江戸時代からへその緒や産毛、乳歯等を取っておく風習がありました。
その中でも、へその緒には特別な栄養があり、神秘的な力が宿っていると考えられており、病気をした時の万能薬になると信じられていました。すり潰して粉にしたり、煎じて飲むと重い病気を治すことができると考えられ、我が子の万が一の時のためにも大事にとっておいたそうです。
逆になくしてしまうと体が弱くなったり、記憶力が弱くなったりするとも信じられていたそうです。
また、赤ちゃんの夜泣きに効く薬とも考えられ、夜泣き予防に吊るしておいたり、夜泣きをした時に舐めさせたりという目的にも使われていました。
そして、男の子が徴兵に行く時や、女の子がお嫁に行く時に親から渡され、お守りとしても扱われていました。
母親または子ども亡くなった時、棺桶の中に入れる風習もありました。子どもを産むという行為は死後の世界では良いこととされ、子どもを産んだ証であるへその緒を持っていると天国に行けると信じられていたからです。そして子どもが亡くなった場合は、へその緒を持っていると必ずあの世でまた母親に会えるとも信じられ、棺の中に入れられていました。
現在ではその様な話はあまり信じられておらず、知らない人も多いと思います。
ただ、記念として、そして親子の絆として、母親のおなかの中にいた証、生まれてきたルーツを辿る証として保存しておく人が多いようです。もし親と生き別れになった時に、DNA鑑定にも使えるそうで、まさに親子の証の品と言えるでしょう。
ただ、見た目もあまり美しいものではありませんし、取っておくことに少し抵抗がある人もいると思います。
現代では、たくさんの写真や動画を残しておけますし、病院での診察、出産記録や母子手帳もあります。親子の証という意味ではへその緒の保存意外にもたくさんの手段があり、とっておいても将来あまり活躍することはないかもしれません。
迷信とはいえ、なんとなく捨ててしまうのも抵抗がある場合は、親子の絆として、古くからの風習に沿って取っておくと良いですし、保存しておくことにあまり良い気分がしないお母さんは取っておかなくても問題ないでしょう。
まとめ
ついに始まった赤ちゃんとの生活。
赤ちゃんのお臍のケアは、これから始まる、興味深い未知なる世界への第一歩です。
初めてでも、分からなくても、一歩一歩確実に…赤ちゃんと一緒に学びながらの、忙しくも楽しい、新しい生活のスタートです!